bitlyアンチパターン

投稿者: | 2018年8月14日

編集長の佐藤(@akihirosato1975)です。
約1年ぶりの投稿となります。

昨年からナビプラスでは、短縮URLサービスの bitly の日本における総代理店を務めてます。
おかげさまで、Google URL Shortener のサービス終了等の影響もあり、最近は非常に多くのお問い合わせをいただくようになっていますが、中にはbitlyの設計思想に向かない用途でのお問い合わせも多くいただいているのが現状です。
そこで今回は、代理店の立場から「bitlyアンチパターン」とでも言える「こういう使い方はすべきではない」使い方をまとめてみることにしました。
ナビプラス公式サイトで公開している FAQ も合わせてお読みいただければ。

× 短縮URLを使い捨てする

元々bitlyが想定する短縮URL(bitlyで言うところの「bitlink」)は、「同じURLに異なるユーザが多数アクセスする」用途を主目的に設計されています。
例えば「印刷物等にURLを掲載する」「QRコードでURLを読み取らせる」ような使い方が該当します。
実際bitlyをお使いいただくとわかりますが、管理画面ではbitlink毎にアクセス数の推移や地域別の状況など、効果測定系の機能が多く用意されています。
その代わりと言っては語弊がありますが、bitlyの有料プラン(bitly Enterprise)は、生成できる短縮URL数が「月5万件」に限られます(一応オプションで増やすことは可能)。

最近はMA(Marketing Automation)等のシステムで、効果測定用のパラメータが入ったURLをユーザの目から隠す目的で、短縮URLを使い捨てするような使い方が非常に増えてますが、そのようなシステムでは1日に数十万件単位の短縮URLを生成することも珍しくありません。
そのような用途にbitlyを使用すると仮定すると、1日も持たずに1ヶ月分の生成枠を使い切ってしまうことになります。
またMAの場合は、そもそもMAのシステム側に効果測定機能を持っていることがほとんどで、bitlyの豊富な管理画面の機能はほぼ使う必要がなく、その点でも機能的に無駄が生じます。
実際ナビプラスでも「 NaviPlusリタゲメール 」というリターゲティングメールサービスを提供しており、その中で短縮URLも使っていますが、その用途ではbitlyではなく、自社で独自実装した短縮URL機能を使用しています。

もし「短縮URLを使い捨てする」運用を現在行っている、あるいは今後検討している場合で、bitlyの採用をご検討されている場合は「そのような用途には向いておりません」とお答えせざるを得ません。
実際費用面でも、価格は一般には非公表ですが、月100万件レベルのオプション契約となると金額が非常に高くなり、おそらく採用は難しいのではないかと考えます。

× APIを頻繁にコールする

bitlyは通常の管理画面からの使用に加え、APIによるサービスのご利用も可能です。(詳細は developerサイト を参照)
ただこのAPIも、システム負荷の観点からアクセス数に制限があります。無料版だと「1時間あたり1000アクセス、1分間に100アクセス」が上限となります( V4 Documentation 内の「Rate Limiting」を参照)。有料版の場合ここの上限値が上がりますが、詳細は非公表なものの、1時間に数万件のアクセスを捌くようなシステムにはなっておりません。
実際bitly側でも、APIコールについては「できるだけ返却したデータをキャッシュして使い回す」ことを推奨しています(上記「V4 Documentation」内の「Caching」を参照)。

たまにAPIをお使いのお客様で、リアルタイムのbitlink生成数を確認したいのか、数秒ごとにAPIをコールするような運用を行いたいというご要望をいただきますが、bitlyではそのようなAPIの運用は非推奨となっております。
APIコールは極力「必要最低限」にしていただけるようお願い申し上げます。

× 同一のOriginal URLから複数のbitlinkを生成したい場合にカスタムbitlinkを使う

お客様からの要望で意外と多いのが「最終的なアクセス先のURLは同一だが、掲載媒体ごとに効果測定のデータを分離したいので、bitlinkは別々に生成したい」というものです。
bitlyの通常の運用では「Original URLにダミーパラメータを付与する」ことをおすすめしていますが、外部サイトへの誘導目的の場合など、パラメータ追加によるシステムの挙動変化の可能性がある場合にはそれも困難な場合があります。

そのようなケースで時々見られるのが、「Custom Bitlink機能を使い、編集を繰り返すことで見た目には複数のbitlinkを生成し、掲載媒体ごとにそれらを使い分ける」という方法ですが、これはナビプラスとしては非推奨です。
というのも、Custom Bitlink機能は、bitlyのシステム内部ではあくまで「メインのbitlinkに対するエイリアス」として実装されているため、bitlinkのタイトル等は共有されてしまうからです。
また将来的に同じキーワードを別のbitlinkに対するCustom Bitlinkに使用してしまうと、それ以前の古いアクセスデータと変更後のアクセスデータが混在してしまい、想定外の数値になってしまうことも考えられます。

ナビプラスではそのようなケースでは、管理画面のグループ機能の利用をおすすめしております。
通常管理画面右上(ハンバーガーメニューの左)にグループ切り替えボタンが表示されていると思いますが、所属するグループが異なる場合には、同じOriginal URLに対してグループごとに異なるbitlinkを生成することが可能です。
この場合元のbitlink自体が異なりますので、タイトル等もそれぞれ別個に設定できますし、当然アクセス数等のデータも別個に集計されます。
またEnterpriseプランの場合、グループ数の上限は無制限となっておりますので(2018年8月現在)、グループ数が足りなくなるという事態もございません。 グループ数には一定の上限がありました。申し訳ございません(2018年11月訂正)。

最後に

bitlyは適切な使い方を把握して使う分には非常に強力なツールとなりますが、上記のようにbitlyには向いていない用途というものもあります。
お客様の想定されている使い方が果たしてbitly向きかどうか、ご不明な場合は弊社営業までお気軽に お問い合わせ していただければと思います。