こんにちは、サービス統括部の梅染です。
以下の記事を読ませて頂き、面白そうなサービスがあるぞという事で、2014年02月24日(月)に【SendGrid】SendGrid Night episode2 に参加しましたのでレポートをします。メールクラウドを検討されている方や、メール配信者にとってもちょっとしたノウハウや注意事項等の情報を求めている方には何かしら得るものが有れば良いなと考えています。
登壇者:中井さん(@nakansuke)
SendGrid とは
APIを利用してメールを簡単に送信出来るメールクラウドサービス。対象となるメールは以下の2種類。一つ目はトランザクションメール(何らかのイベントをトリガーに発信するメールの総称)。もう一つはマーケティングメール(メールマガジンやニュースレター等一斉配信するメールの総称)。特にトランザクションメールが強いが、マーケティングメールもどんどん強化している。
なぜ、SendGrid?
- 確実なメール配信
- 全配信メールの20%は相手のメールボックスまで届いていないケースもあり得る。想像よりメールは届かないと思った方が良い。
- 低コスト
- スケーラブルアナリティクス
- API
- GUIも使えるが、全ての機能がAPIを介して実現でき、非常にプログラマブル。
SendGrid Update
インバウンドサーバの増設中。現在は世界で5カ所。最も近い拠点がシンガポール。様々な新バージョン関連のプロジェクトが進行中。
Eメール のこれから
メールの用途は変わりつつ有る。具体的には、「人と人とのコミュニケーション」 → 「人にリーチする為のツール」へ。
メールの運用について
メールを運用していくのは非常に大変。例えば、バウンス/ブロックメール、フィードバックループ、ブラックリスト、スロットリング、送信ドメイン、Eメールセキュリティ等など。
重要な事
- 正しく届ける事。
- 読まれるメールを届ける事。
正しく届ける為に
- IPウォームアップをやろう。
- 本来同じGIPを利用した方が良い。最初は信頼が無い。継続的にマナーの良いメール配信を行い、信頼を築く事が重要。
- レピュテーションは常に気をつけよう。
- バウンスメール対策をしましょう。
- バウンスメールを送り続ける事は信頼性の低下に繋がり、レート次第ではブロックされる。疑わしいメールは送らない。
読まれるメールを届けるために
開封率/クリック率等アナリティクスの活用を行ったり、簡易的なA/Bテストであったり、顧客にあったコンテンツを作成する等、基本的な事を着実に行う事が重要。昨今ビッグデータやらデータサイエンス等騒がれているが、そこまで分析をしなくとも対策は打てる。指標が沢山有りすぎる場合は、簡単なものからやる。small にシステムを作ってじょじょに拡張していく事を推奨。
最後にもう一度重要な事
- 正しく届ける事。
- 読まれるメールを届ける事。
私的考察
私が SendGrid で特に素晴らしいなと感じた内容としましては、ユーザ登録から効果測定データの取得、配信拒否の設定等あらゆる機能が API を介して柔軟にシステムに組み込む事が出来る事、また各々の API について様々な言語のサンプルコードが OSS で公開されている点などです。定石に沿った精度の高いシステムをスピード感をもって開発するにあたり、間違いなく大きなメリットがあるでしょう。
単一のメールクラウドを利用する場合は良いのですが、複数のメールサービスとの連携が前提の場合は、その他のメールクラウドは主に SMTP としてのサービスが殆どですので、移植性という観点で考えると悩ましい所ですね。※ SendGrid も SMTP として利用する事ができます。
その他、全世界で月間約110億配信という実績がありますので、グローバル展開を考えている企業の場合は大きなメリットとなると思います。また、おおよそほとんどの機能を Free プランで利用できる為、PJ規模の大小によりますが初期投資がそれなりに抑えられ、また無料で検証する点はとても助かるのではと思います。
多くのメール配信者にとって、一斉配信メール対象がスマフォ・フューチャーフォンである割合が 50% 以上と言われているそうですが、国内のメールクラウド/ASPサービスの場合は、世界一厳しい日本独自のキャリア対応経験値やメールマーケティングにどう生かすか、絵文字等のフューチャーフォン対応のノウハウ、、ブロックされた場合のフォローが圧倒的だと感じます。正直メールをあくまで一ツールとして使う側からすると配信規模にもよりますが、この辺りについても完璧にやりきりたい場合、リスクやメンテナンスコスト等を考慮すると自社でカバーするには非常に敷居が高いと思います。
総合的に考えると、どのメールクラウド/サービス/企業も当然ではありますが、何かしら得意不得意な面がありますね。結局は何が必須で何を切り捨てるか次第となるかと思います。2つ以上のサービスを利用する手もありますが、連携先が増える程メンテナンスコストが上がる事を許容しなければいけません。SendGrid についての概要と私的考察を書かせて頂きましたが、色々と検討されている方の手助けになればと思います。
補足
上記以外に、SendGrid のプランの違いや、ドキュメンテーションで大切な事、エヴァンジェリストについて、ハッカソンについて、SendGrid を利用して嵌った罠、Sign というツール紹介等、コンテンツがありました。さらに初回からビール片手と、かなり柔らかいセミナー?ではありましたが、情報収集しつつ色々と楽しませて頂きました。私的には特にドキュメンテーションについての話は、一サービス提供者としてとても参考になりました。こちらの話も気が向いたら書かせて頂きます。