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統数研調査科学セミナー

統数研で開催された調査科学セミナー (2016年度第3回)を聴講しました。今回のテーマは(医学じゃ無くて人口統計学とかで使う方の)コホート分析の話でした。
前半が統数研の中村先生、後半がケルン大学のJagodzinski先生による講演でした。告知には前者が入門用のイントロで後者がメインであるかのように書かれてました。確かに前者を聞いたから後者が理解しやすかったというのもあるのですが、後者の方がより一般的な枠組みの話で、前者の方がより具体的な話だったと思います。
中村先生の話の内容は、統数研が行っている日本人の国民性調査という調査のコホート分析の話です。この調査では例えば「一番大切なもの」に「家族」と答える人の割合が、時代と共にどのように変わるかなどを調査分析します。例えば「家族」と答える割合は、「Period: 時代」「Age: 年齢」「Cohort: 世代」の影響を受けると考えられます。しかし、良く良く考えてみると、実はこの3つの影響には一次従属の関係があり、例えば団塊の世代に特徴的な性質と、時代と年齢で性質が変化した結果たまたま特定の世代にだけ特別な性質が出たのとは区別がつかず、しかも単純な解析をするとA,C,Pの3つに均等に原因を割り当てがち(というのが後半の講演の内容のはず)です。これを避けるための計算方法の話が前半の講演でしたが、中村先生の「コウホート分析における交互作用効果モデル再考」に書いてあるような内容であったと思います。
この手のデータ分析については全然知識がなかったのですが、各パラメータの1階階差(例えば年齢項なら20代と30代のパラメータの差)の二乗総和を最小化するというのは良い制約の与え方だなぁと思いました。連続量を区分化して離散化した値には同じような手法が使えますね。何かの時に参考にしよう。